
答えを提示せずクライアント自身の思考を刺激するコーチングのアプローチは、本人の能力開発と”脳力開発”を促進する・・・。
神経科学からコーチングをとらえると、目の前にある成果創出への貢献だけがコーチングの価値ではないことがわかります。コーチングの対話スタイルは、クライアントの脳内でシナプスの結合を促し、創造性や柔軟性、統合的な思考に関わる神経のつながりを強化していきます。
そんな内容に関する、世界的に有名なコーチで神経科学の専門家でもあるアン・ベッツ氏 のWBECS(ワールド・ビジネス&エグゼクティブコーチ・サミット2021)でのセッションについては、あらためてじっくり紹介したいと思っています。
今日ここで書きたいのは、そのようなコーチングの大きな可能性を、より多くの人々と共有するための新しい試みについてです。
MBCC の顧問であるダニエル・シャールトン・ギトー博士(フランスのエグゼクティブコーチ/コンサルタント)とは、コロナ禍以前に今からご紹介する取り組みについての計画を話し合っていました。
彼が実践している、忙しいエグゼクティブ向けの短時間のコーチングがいかに効果的かと、それを日本のプロコーチが学び、展開していくためのトレーニングについての話でした。
コロナ禍が長引いて機を逸していましたが、このままでは時間が惜しい・・・。そう思い、実験的な取り組みを始めました。
Fast Coaching. 10分間に凝縮したコーチングです。
Aという状況をBへと変えたい。「何を」と「どのように」を予めメール等で共有します。考える対象と、望ましい方向や変化を考えておいてもらうのです。少し漠然としていてもかまいませんが、話しながら課題を見つけていきたい・・・といった要望には、Fast Coachingでは対応できません。
コーチからの助言やフィードバックへの期待にも、基本的には応えることはできません。できるかぎり自分で向かうべきところ、あるいは解そのものを自分で見つけ出すことを求めます。
そこでコーチは何をするかというと、対話のプロセスから余分な要素を徹底的に削ぎ落し、クライアントが集中して大事な問いに向き合うスペースをつくります。そして厳密に10分間のアジェンダを管理します。
Fast Coachingは最高のコーチングではないかもしれません。しかし最高を経験する機会がなければ無に等しいわけで、コーチングを活用できる人を増やしていくことに意味があると思っています。
いちばんあってはならないのは、短時間のコーチングだから質には目をつぶることです。最高ではなくても、そのとき現実的に活用できる時間の価値は最大化するのが前提。
いっけんマインドフルコーチングの対極にあるように感じるかもしれませんが、実は逆です。マインドフルコーチングの本質が押さえられてこそ成立するアプローチです。なぜなら、「今、ここ」に十二分に注意を留めなければならないからです。
いま何人かの方にモニターをしていただき、Fast Coachingのローンチを目指して実験を行っています。クライアントとしてご協力いただけそうな方は、ぜひ気軽にこちらにご連絡ください。