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フィードバックを活かすリーダーの器

『学習する組織』が説く5つの規律のひとつに
「メンタルモデル」があります。
かんたんに言えば、自分が持っている思考の枠組み。
誰にも枠組みはあり、
なければ物事の判断や意思決定が難しくなります。
したがってメンタルモデルは必要、
という言い方もできますが、
固定化されることで障害も起きてきます。

特に今のような変動の激しい社会、
ビジネス環境においては、
これまでの人生経験で形成されたメンタルモデルが、
誤った判断を促す危険性が高まっているといえるでしょう。

だからこそ自分がもっているメンタルモデルを自覚し、
どんな影響を自他に及ぼしているのかに気づくことが大切です。

先日、ビル・トルバート氏による
『アクション・インクワイアリー(行動探求)』
のワークショプに参加しました。

< 組織に及ぼす影響力の大きい経営者やマネジャーは、
忙しい日常の渦中においてメンタルモデルを観察できなければならない >

これは、ビルさんのワークショップで得た大きな学びの一つです。

あとからメンタルモデルに気づくことはできたとしても、
それは失敗のふりかえりでしかないかもしれません。
失敗したことは学びに変えていけばいいにせよ、
ビジネスの重要な局面では失敗自体が許されません。

だから上流部分の意思決定を担うリーダーは、
「行動しながら同時に探求できる人」でなけ
ればならないのです。

ビルさんは現在の組織学習論の先駆者である
クリス・アージリス氏に師事した方で、
『学習する組織』を世に広めたピーター・センゲ氏の先輩、
『U理論』の提唱者であるオットー・シャーマー氏を指導した人物。

ビルさんらによる30年来の実証研究にもとづく
人と組織の発達段階によれば、
ある一定の発達段階までは、
人は自分がもっているメンタルモデルに気づかないそうです。

この研究結果と重なり合うもうひとつの実証は、
同じような発達段階にある人は
他者からのフィードバックを求めない傾向にあること。
つまり自分の興味関心、目的や目標、方法論などを
前提にした行動論理が形成されていて、
そのことが組織の変容に必要な人々の相互性の開発を阻んでいるのです。

さて自分のことを考えてみると、
メンタルモデルの克服とアップデートには
2つのことが欠かせないと感じています。

ひとつは、嫌でもなんでも客観性の高い情報を得ること。
それが科学的で信頼に足るものであることがわかっていれば、
示されたフィードバックを無視することはできません。
ふたつめは、フィードバックを十分に活かす習慣をつくること。
その鍵になるのは、耳の痛い話も受け入れる心の柔らかさと、
改善できているか否かを日常的にキャッチする注意力です。

これらのことが組織開発や人材開発で広く認識されてきていることは、
前者についてはアセスメントへのニーズ拡大からもわかります。

ただしアセスメント(またはサーベイ)は両刃の剣で、
組織と被検者に合意形成がないと失敗します。
そもそも評価を下すためのものなのか、
個人の成長や組織とのより良い相互性を生み出していくためのものなのか。
そこも明確にする必要があるでしょう。

さらに考えなければならないのは、
いかに被検者がフィードバックを活かす器を養っていくかということ。
まだメンタルモデルに気づいておらず、
フィードバックを得ようとしない人の器を拡げることができるのか、という点です。

私自身も経験していることですが、
「どうせ嫌なことを指摘されるのだろう」――と思ったら、
抵抗を感じます。
そして実際に厳しい指摘を受けたら、さらに抵抗を感じます。
それが関係性の思わしくない相手からのフィードバックであれば、
なおさらのことでしょう。

しかし、この逆立つ感情を一歩引いて観ることさえできれば、
欲しくない(けれど必要な)情報が自分に入ってきます。
引いて観る(感じているとき)は、
脳のメカニズムとして、よけいな思考が休んでいるときだからです。
さまざまな考えに惑わされず、情報を受け取りやすくなります。

ですから「いま、心が反応しているな」ということに気づくことが大事です。

これはフィードバックに対する抵抗や反発が自動的に(無自覚なまま)
起きてくるまえに生まれている身体感覚――ムカッとくる、ザワザワする、
締めつけられる感じ・・・といった瞬間的な経験を、
しっかりつかむということです。

そのためには、ふだん見過ごしていることを注意深くとらえる
アテンショントレーニング(注意力を養うトレーニング)が有効です。
ある種の瞑想がビジネスパフォーマンスに好影響をもたらす可能性も、
こうした文脈からみていくことができます。

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◇プロファイルズ株式会社主催セミナー開催  2016年5月11日(水)
自己認識 (Self Awareness)――を礎とするリーダーシップ開発
科学的フィードバック×アテンショントレーニング×コーチングによって、
いかに継続的に次世代リーダー育成を進めていくか

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