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コーチングによる経営者の変化

ブログやウェブサイトの制作でお世話になっているチェリーさんから、私の仕事についてインタビューを受けて記事をまとめてもらいました。


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今回は【典生人語インタビュー企画】の31回目、「コーチングによる経営者の変化」となります。聞き手担当は“典生人語事務局”のチェリーです。


■コーチングによる経営者の変化は十人十色

 

チェリー:コーチングによって経営者は具体的にどう変化していきますか?

 

典生:それが本当に様々で…、一概に言えないんですよね。

 

チェリー:なるほど。それでは相談の段階では、ある程度の共通項があるのでしょうか?

 

典生:自分の著書の内容に影響を受けた人からの相談は、共通している部分があります。その中にある「どうやって部下を育てるか?」「どういう立ち位置で対人関係を築くか」、「チーム作りのノウハウ」などはよく相談されます。

 

チェリー:私も何冊か読みましたが、経営者の方には評判ですよね。

 

典生:あとは幼少期の体験など、何か執着してブレーキをかけているものが、現在のマインドに影響していることもよくあります。コーチに相談するきっかけは似ていても、その後の展開は、十人十色。それぞれの状況に合わせてコーチングを実践しています。

 

チェリー:もし差し支えなければ、実際にコーチングで変化した経営者の方のお話を例に聞かせていただけませんか?

 

典生:分かりました。それではとある大手アパレル会社の経営者のお話をしましょう。

 

■自分の役割を見失ったアパレル社長の気づき

 

典生:突然、オフィスにかかってきた一本の電話がきっかけでした。当時、「宝島」という雑誌に出していた私のコメントを読んだらしく、「コーチングを受けたいんですけど」と単刀直入に切り出されまして。聞いてみると、その動機のひとつに差し迫った悩みがあったようです。

 

チェリー:そのコメントがすごく刺さったんですね。

 

典生:彼の悩みは「自分の役割が見えない」というものでした。脱サラして自分で立ち上げた事業が、既に全国展開する規模に成長しはじめていたんです。事業部の管理を任せられるナンバー2やナンバー3が立派に育ってきており、いくつかのブランドをまとめる担当者もいました。

 

チェリー:会社としては順風満帆に聞こえますが…。

 

典生:そう、端から見ればうらやましいような、組織らしい組織になってきていたんです。ただ全ては彼が始めて、彼が担当していたことで、だから任せられる部下ができた今、「自分の役割が見えない」というのでした。

 

チェリー:なるほど、上手くいっていても悩みは尽きないものですね…。

 

典生:そこで、「これまでどういうことをやってきたんですか?」と訊くと、創業当初からのたくさんの苦労話を聞かせてくれました。やっと入れたテナントで自ら店頭に出て、ハイティーンの女の子向けブランドで女子高生相手に接客していたそうなんです。その人は見るからに極真空手でもやっていそうな(笑)、ミスマッチな風貌なんですよ。

 

チェリー:たしかに店員さんと商品が合ってないと、オススメされてもピンと来ません(笑)。

 

典生:もちろん接客は苦戦したようですが、そのうち、「これじゃいかん」と思い立ち、若い女性店員に接客させて、自分は裏方に回ったりもしたようです。試行錯誤を繰り返して会社を大きくしていった彼のカンパニーストーリーは、とても聞き応えがありました。

 

チェリー:他にもいろんな苦労したエピソードがあったかと思います…。

 

典生:一通り、彼の話を聞き終わって、今度は私から尋ねてみました。「これで完成ですか?」と。そうすると彼は、「いや、ちがいます」と言うんです。「この次はどうなったらいいんですか?」と訊いたら、彼はこう答えました。「それぞれのブランドがひとつの会社になり、ホールディングになり、自立していく」と。

 

チェリー:見えていなかった目的意識を引き出したわけですね。

 

典生:そこで、「もう大丈夫なんじゃないですか?」とあえて訊いてみたんです。すると、「違うんだ、任せられない」と即座に返答がありました。その理由を詳しく聞いてみると、「業務を任せることはできるが、彼らに組織を作っていくことはできない」というもので、「今それができるのは自分しかいない」と言い放って、その社長は気づいたんです。

 

チェリー:すごい。ひとつ答えが出てしまいました。

 

典生:彼はそれまでずっと、業務ができる人材を育ててきたのですが、組織を作る人材を育てる、という発想がなかったのです。自分の仕事が、組織幹部の人材育成だと気付いた彼は、それから「自分の役割」を見い出し、また会社を成長させていったのです。

 

■「自分の役割」に目を向けさせるファーストコンタクト

 

典生:長い話になりましたが、この話は初対面で契約する前の話です。この一回のセッションで彼は自分の役割に気づき、その後、正式にコーチとして契約しました。コーチングが成果を生み出した経営者のひとりで、今でも付き合いがあるんですよ。

 

チェリー:とてもためになる良い話でした。ちなみに契約後は具体的にどういったコーチングの内容だったんでしょうか?

 

典生:契約してからは、具体的に組織のリーダーになってほしい人の強みや弱みを棚卸しして、ひとりひとりの力点ポイントを整理していくことを行っていきました。ファーストコンタクトでの気づきを、より実践的にサポートしていった感じでしたね。

 

チェリー:もちろん、契約後のコーチングも充実していたと思うのですが、ファーストコンタクトでこれほどの効果があるなんて、正直びっくりしました。

 

典生:例に出した社長は、コーチャビリティがしっかりと備わっていた、ということは言えますね。コーチャビリティのある人は今回の社長に限らず、「自分の役割に目が向くか」ということ。バックグラウンドがそれぞれ違っていても、基本はその姿勢がないと、次の具体的なアクションの話にはならないですからね。

 

チェリー:なるほど。初回に、「自分の役割」に目を向けさせる面談を行うということですね。

 

■経営者におけるオープンマインドの必要性

 

典生:自分の役割をしっかり掘り下げて認識するには、やはりマインドがオープンでないとスムーズにはいきません。例えば…、「部下を成長させたい」ということはどの経営者も言うのですが、「そのためのあなたの役割はなんですか?」と問うと、あいまいな答えになってしまうことがよくあります。

 

チェリー:たしかに「部下にとっての自分の役割」を常に意識している経営者は少ないかもしれないですね。

 

典生:そうなんです。本当はもっと自分の弱みを開示して、腹を割って話をする姿勢が大切なのに、なかなかオープンになれない経営者が多いですよね。上に立つ人間こそ、相手の立場に降りて行って、信頼関係を作っていくことが求められているはずなんです。

 

チェリー:「自分の役割」に気づくためには、まずは自分から心を開くことが必要不可欠ということですね。

 

典生:みなさん、頭ではそれらしきことを考えてはいるんですけど…、覚悟を決めて行動に移せないケースもよく目にします。そういう人はどうしても、アンコーチャブルということになってしまいます。「本当の役割」を自覚するのは簡単なことではありません。

 

チェリー:「自分の役割」に気付いた経営者は、もしかしたら自分より優秀な人を雇ったほうが良い、と考える人もいるのでしょうか?

 

典生:評価されている経営者はそのことを常に意識していると言われていますね。自分の限界を受け入れて、自分のやるべきことを認識し直すことは経営者として大切な視点です。ここまでの考えに至るのはなかなか難しいことですよね。

 

■コーチングをより充実させるための組織開発の重要性

 

チェリー:そういう話になってくると、コーチングだけではカバーしきれないケースも出てくるような気がして来るのですが…。

 

典生:コーチングでカバーしきれないケースとしては、そもそも採用や人材配置にミスマッチがあるケースが多いんですよ。このことは、私もコーチングを始めた頃に頻繁にぶち当たった壁です。人情だけで能力の劣る人材を上層部に配置したりすると、マルチタスクで頭がまわらなくなってしまいます。

 

チェリー:昔ながらの会社には、よくありそうな光景です…。

 

典生:昔は自分の経験値が少なかったので、そういう方々のコーチングも意気込んで担当していました。しかし、配置が違うとやはり思ったような結果に至りません。コーチングの前に、適正な組織作りを実践して、適材適所に人材配置をした上でないと、コーチングも十分な力を発揮することができないのです。

 

チェリー:「コーチングの前に組織開発」、ということですね。

 

典生: 自分でもそうしたことを学習して、組織開発の仕事に並行して取り組むようになりました。野球やサッカーツだったらポジションの適性を考えるのは当然なのに、ビジネスの組織はそこが緩いことが珍しくないのです。

 

チェリー:本日は、コーチングによる経営者の変化と、経営者が「自分の役割」を認識する大切さについてのお話を中心に伺いました。

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