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なぜ「同情」よりも「金」なのか?

その昔、幼い安達裕美は、どうして「同情するなら金をくれ!」と言ったのでしょう。

あのとき彼女が言った「同情」は、「他人目線で可哀想だと思われたって、どうしようもない」という気にさせるような、他人から寄せられる情(なさけ)だったのではないでしょうか。

可哀想だと感じているのは事実だけれど、それは自分が経験していることではないから所詮は他人事。テレビのニュースに映る遠い国の戦乱に苦しむ人々を憐れむのと、幼い安達裕美を憐れむ感情は同じ種類のもの。少なくとも情けをかけられた当人には、そう感じられるものだったろうと思います。

これは英語だとsympathy(可哀想だと思う気持ち、同情)がもたらした結果でしょう。

ネイティブでも区別は案外むつかしいらしいとも聞きますが、似て非なる言葉がempathy(共感)です。

sym(同調する~)に対して、emと言い接頭語は「中へ~」という意味があるので、empathyは相手の感情を実際に味わっているというニュアンスになります。いくつかの解説をみてみると、同じ経験をしたことがある人が、他者の苦しみなど感情を共有する・・・共感、ということで、他人目線のsympathy=同情とは区別されるようです。

さらに心理学や臨床現場で重視されるempathyは、「中へ~」によって可能な深い理解と、それにもとづく相手への手助けが含まれます。EQ(感情リテラシー)において共感が不可欠の要素として位置づけられるのも、こうした行動の伴うものだからです。

それでは、自分が相手と同じ経験をしていないかぎりはsympathyを寄せることはできても、empathyをもつことはできないのでしょうか。そう結論づけてしまったら、社会の健全な発展も組織変革もないだろう、というのが私の立場です。

他人目線で安達裕美に拒絶される同情ではなく、少女の心の中にある共感から生まれてくるもの。それを探求していきたいと思います。

芽を伸ばすための360度コーチング

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マネジメント行動についての自己評価が下がり、他者(上司や部下)の評価が上がった事例を、過日の当ブログに書きました。で、他の2名は・・・というところで話を終えたので、今回はそれについて書きます。

「意識的に実践しているつもりだ」という本人の認識は、コーチングで主な課題にした項目の大半でポジティブな有意差をもたらしました。簡単に言えば、本人の「できている(やっている)」という認識が、プロジェクト前に比べて上がっていたのです。ただ、上司や部下の評価がそれに伴って同じように上がっているわけではありませんでした。コーチングにおいて特にフォーカスを当てたいくつかの部分について、上司は加点していたけれど部下はそうでもありませんでした。他の多くの項目については、上司の評価も部下の評価も事前調査と大きな変化は出ていませんでした。

前のブログで紹介した2名が「意識的にやりはじめたら“できない”ほうに自己認識が向いた」のに対し、他のふたりは「意識的にやりはじめたこと自体が、以前より”できている”という自己認識につながった」わけです。前者ふたりは、当初の自己認識が他者評価に比べて高く、後者ふたりは他者評価に比べて低い傾向にありました。それぞれが適正な自己像に近づいたことは、事前と事後の自他評価の比較から明らかになりました。

しかし心情的な話をするなら、実践努力が上司や部下の目に十分届いていないのは気の毒・・・。プロジェクト報告のためにデータを丹念に読み返しながら、正直そんな思いを抱きました。半年間をともにしてきた私の感覚では、「もっと部下に届いているはずだ」という期待感があったので。

客観的な(ある意味では冷徹な)フィードバックをしなければならないけれど、結果に現れてこなかったことに潜んでいる価値も本人や上司に伝えたい。そう思って臨んだ3者面談では、むしろ現役トップマネジメントチームたる上司陣が、結果に現れてこなかったことを十分にくみ取ってくれていることがわかりました。部下からは事前調査にもあった辛辣なコメントなども一部には残っていたのですが、それらも含めてニュートラルに次世代経営者候補たちを観る目がありました。

いわゆる「360度評価」は”評価”と表現してしまった時点で、たとえバイアスを避けられないと頭では理解していても、一つの評価として伝わってしまいます。しかし私たちはこの次世代リーダー育成プロジェクトを通して、可能性を開花させるための課題を探り、行動を通してマネジメントスキルを開発するための「360度情報」であることを周知徹底してきました。

「まだ、あいつらには見えていないんだな」・・・そんな言葉が、面談の途中で何度もトップから発せられました。森をみているトップの視野には入っているけれど、特定の木に目が向いている現場には上司の変化や、変化しようとする努力が伝わっていかない。それはもう少し時間を要することなのだということが見えてきました。さらに、「もっと伝わるように行動することの必要性」も浮き彫りになってきました。どちらにせよ非常に有り難かったのは、土のなかで起きている変化をトップマネジメントチームが承認し、結果に表れていない結果を肯定的にとらえて話をしてくれたことでした。

一連の取り組みを通して、なぜ多くの企業において「360度評価」がうまく活用できずにいるのかも、あらためて理解できたように思います。そして評価や判断を保留して開かれた360度の情報としてとらえれば、同じような労力もシステムも、まったく異なるパワーを持つことが実感できました。

自己認識が高まると自己評価が下がる?

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クライアント企業の次世代幹部育成プロジェクトに半年間取り組みました。

コーチングした4名のうち2名に共通していたのが、
主要な開発課題の多くで自己評価が下がっていたこと。
その一方で、同じ項目について現経営陣と部下からの評価は上昇していました。

その結果、コーチングに着手するまえの事前調査で開きの大きかった自他の認識が、
事後調査ではほぼ一致してきたのです。

採点に現れない定性的なコメントを拾っていくと、
望ましい変化を示唆する部下や同僚のコメントが現れていました。

意識していなかった行動に意識的に取り組むことで、
その2名に起きたのは「うまくできない」という実感でした。
たとえば真の傾聴、ひとつをとっても。

しかし本人たちの実践に対峙している部下は、
上司の変化を実感していたのです。

私たちが主催しているSIYセミナーで、
猫が見つめている鏡のなかにライオンが映っているスライドがあります。
自己認識の歪みを示す私の好きなスライドですが、
今回のプロジェクトの結果をみて真っ先にそれが思い浮かんだのです。

等身大で自己をとらえることができるようになれば、
多様な部下の反応が良きフィードバックになってくるでしょう。
「私は話を十分に聴いている」と思っていたら口を挟んでしまうけど、
「まだ十分に聴けていない」と思ったら、さらに耳を傾けようとする・・・というように。

2名の半年後が、どんな様子かが楽しみになってきました。

残り2名については、また次の機会に。

フィードバックを活かすリーダーの器

『学習する組織』が説く5つの規律のひとつに
「メンタルモデル」があります。
かんたんに言えば、自分が持っている思考の枠組み。
誰にも枠組みはあり、
なければ物事の判断や意思決定が難しくなります。
したがってメンタルモデルは必要、
という言い方もできますが、
固定化されることで障害も起きてきます。

特に今のような変動の激しい社会、
ビジネス環境においては、
これまでの人生経験で形成されたメンタルモデルが、
誤った判断を促す危険性が高まっているといえるでしょう。

だからこそ自分がもっているメンタルモデルを自覚し、
どんな影響を自他に及ぼしているのかに気づくことが大切です。

先日、ビル・トルバート氏による
『アクション・インクワイアリー(行動探求)』
のワークショプに参加しました。

< 組織に及ぼす影響力の大きい経営者やマネジャーは、
忙しい日常の渦中においてメンタルモデルを観察できなければならない >

これは、ビルさんのワークショップで得た大きな学びの一つです。

あとからメンタルモデルに気づくことはできたとしても、
それは失敗のふりかえりでしかないかもしれません。
失敗したことは学びに変えていけばいいにせよ、
ビジネスの重要な局面では失敗自体が許されません。

だから上流部分の意思決定を担うリーダーは、
「行動しながら同時に探求できる人」でなけ
ればならないのです。

ビルさんは現在の組織学習論の先駆者である
クリス・アージリス氏に師事した方で、
『学習する組織』を世に広めたピーター・センゲ氏の先輩、
『U理論』の提唱者であるオットー・シャーマー氏を指導した人物。

ビルさんらによる30年来の実証研究にもとづく
人と組織の発達段階によれば、
ある一定の発達段階までは、
人は自分がもっているメンタルモデルに気づかないそうです。

この研究結果と重なり合うもうひとつの実証は、
同じような発達段階にある人は
他者からのフィードバックを求めない傾向にあること。
つまり自分の興味関心、目的や目標、方法論などを
前提にした行動論理が形成されていて、
そのことが組織の変容に必要な人々の相互性の開発を阻んでいるのです。

さて自分のことを考えてみると、
メンタルモデルの克服とアップデートには
2つのことが欠かせないと感じています。

ひとつは、嫌でもなんでも客観性の高い情報を得ること。
それが科学的で信頼に足るものであることがわかっていれば、
示されたフィードバックを無視することはできません。
ふたつめは、フィードバックを十分に活かす習慣をつくること。
その鍵になるのは、耳の痛い話も受け入れる心の柔らかさと、
改善できているか否かを日常的にキャッチする注意力です。

これらのことが組織開発や人材開発で広く認識されてきていることは、
前者についてはアセスメントへのニーズ拡大からもわかります。

ただしアセスメント(またはサーベイ)は両刃の剣で、
組織と被検者に合意形成がないと失敗します。
そもそも評価を下すためのものなのか、
個人の成長や組織とのより良い相互性を生み出していくためのものなのか。
そこも明確にする必要があるでしょう。

さらに考えなければならないのは、
いかに被検者がフィードバックを活かす器を養っていくかということ。
まだメンタルモデルに気づいておらず、
フィードバックを得ようとしない人の器を拡げることができるのか、という点です。

私自身も経験していることですが、
「どうせ嫌なことを指摘されるのだろう」――と思ったら、
抵抗を感じます。
そして実際に厳しい指摘を受けたら、さらに抵抗を感じます。
それが関係性の思わしくない相手からのフィードバックであれば、
なおさらのことでしょう。

しかし、この逆立つ感情を一歩引いて観ることさえできれば、
欲しくない(けれど必要な)情報が自分に入ってきます。
引いて観る(感じているとき)は、
脳のメカニズムとして、よけいな思考が休んでいるときだからです。
さまざまな考えに惑わされず、情報を受け取りやすくなります。

ですから「いま、心が反応しているな」ということに気づくことが大事です。

これはフィードバックに対する抵抗や反発が自動的に(無自覚なまま)
起きてくるまえに生まれている身体感覚――ムカッとくる、ザワザワする、
締めつけられる感じ・・・といった瞬間的な経験を、
しっかりつかむということです。

そのためには、ふだん見過ごしていることを注意深くとらえる
アテンショントレーニング(注意力を養うトレーニング)が有効です。
ある種の瞑想がビジネスパフォーマンスに好影響をもたらす可能性も、
こうした文脈からみていくことができます。

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◇プロファイルズ株式会社主催セミナー開催  2016年5月11日(水)
自己認識 (Self Awareness)――を礎とするリーダーシップ開発
科学的フィードバック×アテンショントレーニング×コーチングによって、
いかに継続的に次世代リーダー育成を進めていくか

コーチングからコーチングカルチャーへのシフトを

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企業でコーチングを成功させるには、
コーチングをするという発想ではなく、
コーチングカルチャーをつくるという発想が大事。

先日、米国に8社しかない創業200年超の老舗企業の一つである
Wiley社(NY証券取引市場上場)の
ジェフリー・シュガーマン副社長を迎えての『アセスメントフォーラム2015』
(HRDグループ主催)に登壇しました。

私のテーマは写真のとおり、
『パフォーマンスの定量化で企業内コーチングを業績につなげる』。

ここでお話したトピックを、何回かに分けてご紹介したいと思います。

ブレークアウトセッションの前半、
まず最新の企業内コーチングに関するグローバルリサーチを取り上げました。

結論として「強いコーチングカルチャー」が根づいている企業では、
従業員エンゲージメント(2015年調査)、
ファイナンス(2014年調査)で、
それ以外の企業に比べポジティブな優位差があることがわかりました。

この調査におけるコーチングカルチャーの定義は少し曖昧なところがあるので、
以下、Center for Creative Leadership による説明を訳してみました。

コーチングカルチャーとは
目標や課題解決に向けたクライアントの・・・

算定(データ収集、ギャップ分析、進捗管理、ふりかえり)、

挑戦(焦点化、直視、目標設定、障害の確定、発展的な行動計画の確定)、

支援(権限委譲、宣言、約束の取り付け、説明責任の保持、成功と失敗の取り扱い)

といったコーチングを実施する具体的な行動の
偏在的アプリケーションである。

ちょっとややこしいですが、
簡単に言えば、
コーチングというOne on One のアプローチが、
十分に機能するように環境設定され、
支援が提供されているということ。

そして、プロコーチとのフォーマルなOne on One の他に、
コーチングの理念と手法が活かされた
インフォーマルなコーチング的対話、
コーチング的取り組みが散らばり、
統合化されているということでしょう。

このようにコーチングが統合的にとらえられ、
実施されているケースは、まだ日本では少ないと思います。

逆に考えれば、
そこにこれからの企業内コーチングの可能性が
たくさん残っているということでもあります。

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2016年1月16日(土)、17日(日)

プロコーチ向けスキルアップの徹底トレーニング
コアコンピテンシーキャンプ集中特訓2days

参加者募集中

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