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社員はどんなときにコーチを求めるのか

ブログやウェブサイトの制作でお世話になっているチェリーさんから、私の仕事についてインタビューを受けて記事をまとめてもらいました。


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今回は【典生人語インタビュー企画】の33回目、「社員はどんなときにコーチを求めるのか」となります。聞き手担当は“典生人語事務局”のチェリーです。


■社員がコーチングを受けるシステム

 

チェリー: 経営者がコーチを求める動機は以前(30回目)にお聞きしました。それでは、社員の方はどんなタイミングでコーチを必要とするのでしょうか?

 

典生:コーチングが一般的になってきているので、社員がコーチングを希望するケースも増えてきています。個人契約している方もいますが、まずはスキルアップに関心の高い人、成長欲のある人が自己投資のために興味を持ちます。これからのキャリアを考えたい、タイムマネジメントをしたい、などみなさん意識が高いです。

 

チェリー:社員で自発的にコーチをつけようとする人は、相当、向上心が高い人ですね。

 

典生:あとは社内コーチのシステムができている会社だと、同じようにそれぞれのテーマでコーチをつけたいという話があがってきて、人事部経由で紹介されることがあります。

 

チェリー:具体的にはどんなプロセスでしょう。

 

典生:人事部の判断で該当社員に「コーチつけてみたら」と打診して、コーチと引き合わせるケースもありますし、社員から要望するパターンもああります。稀に人事抜きで直接コーチとやりとりしているケースもありますよ。まだ上手く機能させている企業はそんなに多くはないですが、少しずつ増えてきています。

 

■社員におけるアンコーチャブルな事例

 

チェリー:逆にアンコーチャブル以外で、コーチングが機能しない事例はありますか?

 

典生:ありますよ。コーチがクライアントの立場でコントロールできないものがテーマになっている場合です。そもそもゴール設定に無理があるのです。これはコーチ側のスキルが低いと、そういう誘導をしてしまう場合もあります。

 

チェリー:一社員ではどうにもならないこともありますからね…。

 

典生:そう例えば、「なんとか組織の風土を変えていきたい。しかし、世代や職位ごとの価値観のギャップが激しくて、実現が困難」などと言ったケース。これは経営者や役員、上級管理職が掲げるテーマであって、中堅以下の社員と直接的なコーチングのテーマとして扱うのは難しいですね。

 

チェリー:たしかに現場の人間が抱えている不満など、なかなか会社全体には反映されないですよね。

 

典生:そういう場合は、自分が影響力を及ぼせることは何で、無理なものは何なのか、ということの棚卸しが必要です。そこができていないと、コーチングによる良い効果は生まれません。

 

チェリー:他にコーチングが機能しないケースはありますか?

 

典生:あとは、社内コーチングで起きがちな現象があります。通常は、クライアント=スポンサーの図式ですよね。例えばオーナー社長じゃなくても役員レベルだと、会社のお金でコーチを受けても、身銭を切った自己投資として、主体的にコーチングを受けます。ただ中間管理職以下だと会社のお金に対する意識が全く違います。

 

チェリー:自分のお金という意識はなくなりますよね。

 

典生:そう、会社が出したお金で研修を受けさせられる、という受け身の意識になります。会社との同意が取れていない場合や、信頼関係がない場合には、コーチングが機能しません。お母さんに無理やり塾に生かされた子どもが成績を上げないのと同じです。

 

チェリー:分かりやすい例ですね(笑)。

 

典生:会社としては何を期待してコーチングを受けさせようとしているのか、個人としてはコーチングによりどうなっていきたいのか、そこにズレが生じている場合、目的を共有できない場合などは、もちろん上手くいきません。

 

チェリー:組織と個人の関係が上手く築けていないと、せっかくの投資が無駄になってしまいますね。

 

典生:企業組織自体がアンコーチャブルということもあります。会社の中に入って組織的にコーチングを実施することは、かなり複雑な作業なんです。 個人契約のパーソナルコーチングで、自分の意志だけで決められるようなことを扱う場合とは状況も方法もまた全然違いますから。

 

チェリー:本日は、日本の社員におけるコーチングの仕組みとコーチングが機能しない事例についてお聞きしました。

指示待ち社員はコーチングで変わるのか?

ブログやウェブサイトの制作でお世話になっているチェリーさんから、私の仕事についてインタビューを受けて記事をまとめてもらいました。


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今回は【典生人語インタビュー企画】の32回目、「指示待ち社員はコーチングで変わるのか?」となります。聞き手担当は“典生人語事務局”のチェリーです。


■「目的意識がない」ことに問題提起があるかどうか

 

チェリー:やはり目的意識がない人にコーチングは効かないのでしょうか?

 

典生:一概にそうは言えませんよ。例えば、「目的意識がない」という自覚があり、それに対して「何故なんだろう」と問題提起がある場合には、効果があることがあります。

 

チェリー:たしかに長い社会人生活で「何のために働いているんだろう」と目的意識が希薄になってしまっている人もいますよね。

 

典生:何かがきっかけになって、意識が変わることは十分ありうることです。ただ、完全にそういう問題提起に蓋をして、開き直ってる人はどうしても難しいでしょう。

 

■やる気があるビギナーとやる気のないミドルマネジメント

 

チェリー:俗に言う、「指示待ち社員」はコーチングで変わりますか?

 

典生:変わるケースもあります。指示待ち」といっても「やる気はあるけど何をしていいかわからない人」もいれば、何をすればいいか内心わかっているのに、やる気がない人もいるし、いろいろですからね。

 

チェリー:やる気がない「指示待ち社員」は論外ですね。

 

典生:様々な会社の中に入って見てきましたが、いまだに人が余っている、人材がダブついている組織がたくさんあるんですよ。人が余っているから「仕事を作るための仕事」が蔓延していて。あれが日本の会社をダメにする最大の要因だと思います。

 

チェリー:大手製造業者など、そういう話をよく聞きます。

 

典生:どの組織でも共通した構造があります。トップの経営陣は厳しい環境をくぐり抜けてきているので、やはり優秀な人材が多いです。現場は、現場でモチベーションが高い。そうすると、真ん中に人が余って機能していないケースが頻繁に見受けられます。

 

■各マネジメントレベルで必要なビジネススキル

 

チェリー:トップ、真ん中、現場でコーチングのスタイルも変わってくるのでしょうか?

 

典生:もちろんトレーニングメニューはそれぞれ異なります。テクニカルスキルはトップに行くほど、不必要になりますし。各スキルの必要性でよく引用されるカッツモデルはご存知ですか?

 

チェリー:初めて聞きました。

 

典生:ロバート・カッツが提唱している、マネジメントに必要とされるスキルの分布図です。各マネジメント段階において、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの重要度を図解しています。

 

https://jinjibu.jp/f_management/article/detl/outline/804/

 

チェリー:おもいしろいですね。とても分かりやすいです。

 

典生:経営者の能力がヒューマンスキルに偏ってしまい、コンセプチュアルスキルが鍛えられていないと、人情味あふれる判断が、本質的な判断の邪魔をしてしまい、組織の成長に支障が出て来てしまいます。

 

チェリー:コンセプチュアルスキルは天性の能力なのでしょうか?

 

典生:もともと得意な人もいるかと思いますが、コンセプチュアルスキルは思考の癖・習慣なので、訓練で鍛えることもできるんですよ。

 

チェリー:ミドルが崩壊しているケースでは、トップの人が下に降りていく繰り返しになるのでしょうか?

 

典生:いえ、ほとんどの企業は、ミドルを飛ばしてはいけないという考え方をしますから。日産が何故、カルロスゴーンによる組織の大手術ができたかというと、そこにしがらみがなかったからです。それまでは同じ釜の飯を食った仲間を、重要なポジションから外すことがなかなかできなかった、という事情がありました。

 

■「自己認知」(セルフアウェアネス)の重要性

 

チェリー:各マネジメントで共通しているコーチングのポイントはありますか?

 

典生:コーチングでいちばん重要なことは「自己認知」(セルフアウェアネス)ですね。それをサポートすることが重要です。

 

チェリー:自分を客観的に見ることができれば、足りないものやバランスを崩したものを知れる、ということですね。

 

典生:その通りです。自分を見ようとしないと、コーチングは全く機能しません。

 

■企業内でのコーチの育成

 

チェリー:コーチを企業の中に育成することはできるのですか?

 

典生:よくやっていますよ。企業内コーチといっても専任ではなく、他に業務を持つ人が兼任しているのが通常です。

 

チェリー:コーチになれる適性は、どこで判断しますか?

 

典生:まず業務自体でしっかり実績を上げて周囲に認められていることが前提ですね。そうでなければ社内で信用されませんから。それと同時に、人望の厚さとか、そのポテンシャルなども考慮されると思います。それぞれ企業としての判断があると思いますが。

 

チェリー:本日は、指示待ち社員に対するコーチングから始まって、各マネジメントにおける必要スキルついてのお話を中心に伺いました。

コーチングによる経営者の変化

ブログやウェブサイトの制作でお世話になっているチェリーさんから、私の仕事についてインタビューを受けて記事をまとめてもらいました。


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今回は【典生人語インタビュー企画】の31回目、「コーチングによる経営者の変化」となります。聞き手担当は“典生人語事務局”のチェリーです。


■コーチングによる経営者の変化は十人十色

 

チェリー:コーチングによって経営者は具体的にどう変化していきますか?

 

典生:それが本当に様々で…、一概に言えないんですよね。

 

チェリー:なるほど。それでは相談の段階では、ある程度の共通項があるのでしょうか?

 

典生:自分の著書の内容に影響を受けた人からの相談は、共通している部分があります。その中にある「どうやって部下を育てるか?」「どういう立ち位置で対人関係を築くか」、「チーム作りのノウハウ」などはよく相談されます。

 

チェリー:私も何冊か読みましたが、経営者の方には評判ですよね。

 

典生:あとは幼少期の体験など、何か執着してブレーキをかけているものが、現在のマインドに影響していることもよくあります。コーチに相談するきっかけは似ていても、その後の展開は、十人十色。それぞれの状況に合わせてコーチングを実践しています。

 

チェリー:もし差し支えなければ、実際にコーチングで変化した経営者の方のお話を例に聞かせていただけませんか?

 

典生:分かりました。それではとある大手アパレル会社の経営者のお話をしましょう。

 

■自分の役割を見失ったアパレル社長の気づき

 

典生:突然、オフィスにかかってきた一本の電話がきっかけでした。当時、「宝島」という雑誌に出していた私のコメントを読んだらしく、「コーチングを受けたいんですけど」と単刀直入に切り出されまして。聞いてみると、その動機のひとつに差し迫った悩みがあったようです。

 

チェリー:そのコメントがすごく刺さったんですね。

 

典生:彼の悩みは「自分の役割が見えない」というものでした。脱サラして自分で立ち上げた事業が、既に全国展開する規模に成長しはじめていたんです。事業部の管理を任せられるナンバー2やナンバー3が立派に育ってきており、いくつかのブランドをまとめる担当者もいました。

 

チェリー:会社としては順風満帆に聞こえますが…。

 

典生:そう、端から見ればうらやましいような、組織らしい組織になってきていたんです。ただ全ては彼が始めて、彼が担当していたことで、だから任せられる部下ができた今、「自分の役割が見えない」というのでした。

 

チェリー:なるほど、上手くいっていても悩みは尽きないものですね…。

 

典生:そこで、「これまでどういうことをやってきたんですか?」と訊くと、創業当初からのたくさんの苦労話を聞かせてくれました。やっと入れたテナントで自ら店頭に出て、ハイティーンの女の子向けブランドで女子高生相手に接客していたそうなんです。その人は見るからに極真空手でもやっていそうな(笑)、ミスマッチな風貌なんですよ。

 

チェリー:たしかに店員さんと商品が合ってないと、オススメされてもピンと来ません(笑)。

 

典生:もちろん接客は苦戦したようですが、そのうち、「これじゃいかん」と思い立ち、若い女性店員に接客させて、自分は裏方に回ったりもしたようです。試行錯誤を繰り返して会社を大きくしていった彼のカンパニーストーリーは、とても聞き応えがありました。

 

チェリー:他にもいろんな苦労したエピソードがあったかと思います…。

 

典生:一通り、彼の話を聞き終わって、今度は私から尋ねてみました。「これで完成ですか?」と。そうすると彼は、「いや、ちがいます」と言うんです。「この次はどうなったらいいんですか?」と訊いたら、彼はこう答えました。「それぞれのブランドがひとつの会社になり、ホールディングになり、自立していく」と。

 

チェリー:見えていなかった目的意識を引き出したわけですね。

 

典生:そこで、「もう大丈夫なんじゃないですか?」とあえて訊いてみたんです。すると、「違うんだ、任せられない」と即座に返答がありました。その理由を詳しく聞いてみると、「業務を任せることはできるが、彼らに組織を作っていくことはできない」というもので、「今それができるのは自分しかいない」と言い放って、その社長は気づいたんです。

 

チェリー:すごい。ひとつ答えが出てしまいました。

 

典生:彼はそれまでずっと、業務ができる人材を育ててきたのですが、組織を作る人材を育てる、という発想がなかったのです。自分の仕事が、組織幹部の人材育成だと気付いた彼は、それから「自分の役割」を見い出し、また会社を成長させていったのです。

 

■「自分の役割」に目を向けさせるファーストコンタクト

 

典生:長い話になりましたが、この話は初対面で契約する前の話です。この一回のセッションで彼は自分の役割に気づき、その後、正式にコーチとして契約しました。コーチングが成果を生み出した経営者のひとりで、今でも付き合いがあるんですよ。

 

チェリー:とてもためになる良い話でした。ちなみに契約後は具体的にどういったコーチングの内容だったんでしょうか?

 

典生:契約してからは、具体的に組織のリーダーになってほしい人の強みや弱みを棚卸しして、ひとりひとりの力点ポイントを整理していくことを行っていきました。ファーストコンタクトでの気づきを、より実践的にサポートしていった感じでしたね。

 

チェリー:もちろん、契約後のコーチングも充実していたと思うのですが、ファーストコンタクトでこれほどの効果があるなんて、正直びっくりしました。

 

典生:例に出した社長は、コーチャビリティがしっかりと備わっていた、ということは言えますね。コーチャビリティのある人は今回の社長に限らず、「自分の役割に目が向くか」ということ。バックグラウンドがそれぞれ違っていても、基本はその姿勢がないと、次の具体的なアクションの話にはならないですからね。

 

チェリー:なるほど。初回に、「自分の役割」に目を向けさせる面談を行うということですね。

 

■経営者におけるオープンマインドの必要性

 

典生:自分の役割をしっかり掘り下げて認識するには、やはりマインドがオープンでないとスムーズにはいきません。例えば…、「部下を成長させたい」ということはどの経営者も言うのですが、「そのためのあなたの役割はなんですか?」と問うと、あいまいな答えになってしまうことがよくあります。

 

チェリー:たしかに「部下にとっての自分の役割」を常に意識している経営者は少ないかもしれないですね。

 

典生:そうなんです。本当はもっと自分の弱みを開示して、腹を割って話をする姿勢が大切なのに、なかなかオープンになれない経営者が多いですよね。上に立つ人間こそ、相手の立場に降りて行って、信頼関係を作っていくことが求められているはずなんです。

 

チェリー:「自分の役割」に気づくためには、まずは自分から心を開くことが必要不可欠ということですね。

 

典生:みなさん、頭ではそれらしきことを考えてはいるんですけど…、覚悟を決めて行動に移せないケースもよく目にします。そういう人はどうしても、アンコーチャブルということになってしまいます。「本当の役割」を自覚するのは簡単なことではありません。

 

チェリー:「自分の役割」に気付いた経営者は、もしかしたら自分より優秀な人を雇ったほうが良い、と考える人もいるのでしょうか?

 

典生:評価されている経営者はそのことを常に意識していると言われていますね。自分の限界を受け入れて、自分のやるべきことを認識し直すことは経営者として大切な視点です。ここまでの考えに至るのはなかなか難しいことですよね。

 

■コーチングをより充実させるための組織開発の重要性

 

チェリー:そういう話になってくると、コーチングだけではカバーしきれないケースも出てくるような気がして来るのですが…。

 

典生:コーチングでカバーしきれないケースとしては、そもそも採用や人材配置にミスマッチがあるケースが多いんですよ。このことは、私もコーチングを始めた頃に頻繁にぶち当たった壁です。人情だけで能力の劣る人材を上層部に配置したりすると、マルチタスクで頭がまわらなくなってしまいます。

 

チェリー:昔ながらの会社には、よくありそうな光景です…。

 

典生:昔は自分の経験値が少なかったので、そういう方々のコーチングも意気込んで担当していました。しかし、配置が違うとやはり思ったような結果に至りません。コーチングの前に、適正な組織作りを実践して、適材適所に人材配置をした上でないと、コーチングも十分な力を発揮することができないのです。

 

チェリー:「コーチングの前に組織開発」、ということですね。

 

典生: 自分でもそうしたことを学習して、組織開発の仕事に並行して取り組むようになりました。野球やサッカーツだったらポジションの適性を考えるのは当然なのに、ビジネスの組織はそこが緩いことが珍しくないのです。

 

チェリー:本日は、コーチングによる経営者の変化と、経営者が「自分の役割」を認識する大切さについてのお話を中心に伺いました。

経営者はなぜコーチをつけるのか?

ブログやウェブサイトの制作でお世話になっているチェリーさんから、私の仕事についてインタビューを受けて記事をまとめてもらいました。


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今回は【典生人語インタビュー企画】の30回目、「経営者はなぜコーチをつけるのか?」となります。聞き手担当は“典生人語事務局”のチェリーです。


■複雑化する組織の中で、孤独感を感じる経営者

 

チェリー:そもそも経営者はなぜコーチをつけるのでしょうか?

 

典生:それは一言で言うと、「孤独」だからですね。組織が大きくなるにつれて、出来事が複雑化しますので、社内の人間に言っていいこと、悪いことの線引きも難しくなります。結局、自分で溜め込んで、孤独感を感じている経営者が多いですよね。

 

チェリー:たしかに…、「経営者」と「孤独」のキーワードの組み合わせはしっくりきます。

 

典生:自分ひとりで抱えているさまざまな事案や想いを、我々のような第三者に伝えることによって、まずはガス抜きになります。そして対話していく中で、新しい視点・切り口で対処することができるように変化させていくことがコーチの役目です。

 

チェリー:「経営者」、「孤独」で検索してコーチのサイトにたどり着く人もいそうですね。

 

典生:やはり一番のとっかかりとしては「孤独感」です。本人は無意識でも、心のどこかで感じているものなんですよ。

 

■コーチングを求める経営者の向上心

 

チェリー:コーチングをつけたがるタイプの経営者に傾向はありますか?

 

典生:ありますよ。やはり「何かを変えたい」という意識が高い人です。理想と現状のギャップを認識して、その中で向上心を持って取り組んでいる人は自然とコーチングを求めます。

 

チェリー:変化を求める経営者はコーチングを必要とする、ということでしょうか?

 

典生:必ずしもそうとは限りません。何かを変えたいと思った時に、その変化を求める姿勢には、大きく分けて二パターンあります。ひとつは、外に目が向いているパターン。「業績を上げたい」、「部下を変えたい」といった願望ですね。もうひとつは内に目が向いているパターン、すなわち、「自分を変えたい、成長したい」という姿勢です。同じ「変えたい」という意識が高くても、コーチングが機能しやすいのは明らかに後者のパターンです。

 

■コーチャビリティの有無を決定する経営者の意識の差

 

チェリー:変化の対象が「外」に向いている経営者は、コーチの成果が現れにくい、ということになりますね。

 

典生:まさに、「アンコーチャブル(コーチングが機能しない人)」という言葉があります。主に「自分自身を直視することが怖い」「常に周りに問題があると思ってしまう」というような、他責の発想の持ち主は、「アンコーチャブル」の代表格です。

 

チェリー:ちなみに経営者と部下の能力の乖離が激しすぎて、致し方なく部下を責めてしまう、ということはないでしょうか?

 

典生:ありますね。そういうケースは多いです。乖離がありすぎて、ますます孤独になってしまう。ただ、そういう状況があっても、それを自責にするか他責にするかは、やはり人によって異なります。似たような状況でも経営者によって考え方や行動は様々ですよ。

 

チェリー:そういった経営者の意識の差は、コーチを始めて、どの段階で判断できるものなのでしょうか?

 

典生:一番最初に分かります。 コーチャビリティがなくてもコーチングに関心のある人はたくさんいるので、その場合はいかに自己認識を深めてもらうかが重要です。

 

■経営者同士のコミュニティを「傷の舐め合い」の場にしない

 

チェリー:ちなみにコーチング以外で、例えば、経営者同士で集まって孤独感を共有することはないのですか?

 

典生:経営者のコミュニティはたくさんありますが、 とても有意義な場合と、必ずしもそうではない場合があるように思います。頭の凝り固まったネガティブな経営者たちが、類は友を呼ぶで集まると、ますます凝り固まってしまいますからね。

 

チェリー: 「傷の舐め合い」みたいなことも起きるのでしょうか?

 

典生:決してそれを否定する訳ではないですけど、その視点はその視点、そうじゃないものはそうじゃないものと、ちゃんと切り分けて考えることができないとダメですね。テレビのドキュメンタリーでたまに見ますが、「倒産社長の集まり」とか、 第3者が場づくりをサポートするほうが、うまくいくかもしれませんね。

 

チェリー:想像しただけで空気が重いですね…。「孤独」な経営者だからこそ、常に客観的な視点が必要なんですね。本日は、経営者がコーチをつける動機からアンコーチャブルの特徴についてのお話を中心に伺いました。

【典生人語インタビュー企画 vol.29】 「ゴール設定における目的(パーパス)と目標(ゴール)」

ブログやウェブサイトの製作でお世話になっているチェリーさんから、私の仕事についてインタビューを受けて記事をまとめてもらいました。


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今回は【典生人語インタビュー企画】の29回目、「ゴール設定における目的(パーパス)と目標(ゴール)」となります。聞き手担当は“典生人語事務局”のチェリーです。


■目的(パーパス)のない目標(ゴール)は弱い

 

チェリー:コーチのゴール設定は、どの辺りに置かれることが多いのですか?

 

典生:ケースバイケースですね。ゴールを“目的”に置く場合と“目標”がゴールという違いがあります。たとえば『2020年に東京にオリンピックを招致する』というのは目標です。できたかできなかったかはっきりわかりますよね。これに対して『その大義は何? なぜ東京でオリンピックをやりたいの?』という質問に対するこたえである『東京を再び活性化し、日本にエネルギーを与えるため』というのが目的です。どこかで達成できるというものではなくて常にここにある価値や意味ですよね。

 

チェリー:目標は達成すれば終わりですが、目的は常にあるものなのですね。

 

典生:『なぜそれをやりたいのですか?』『それをあなたが実現することの価値は、あなたにとって何ですか?』『それを実現することによってあなた自身が手に入れられるものは何ですか?』
そういった目的がないと、ゴールは弱いものになります。

 

チェリー:士気を高めるためにも目的は大切なものなんですね。

 

■目標と目的は、クライアント自身で設定する

 

典生:目標と目的が繋がっていないと、やらされている感(サバイバルモード)が強くなって、コーチングの価値はなくなります。

 

チェリー:ゴールである目標と目的は、コーチのものですか? それともクライアントのものですか?

 

典生:クライアントが作っていくマップの中には、目的も目標もあるので、そのテンプレートをざっくり共有しながら、クライアントが自ずと、しかるべきタイミングで埋めていけるように促すのがコーチングです。このテンプレートを使って、こんなふうに埋めていきなさいとなると、コンサルティングになってしまいます。国際コーチング連盟では、プロフェッショナルな部分とパーソナルな部分、両方のポテンシャルを最大化させるために、コーチは関わっていくと言っています。

 

■目的をもつことを訓練されていない日本人

 

チェリー:仕事をしている人の中には、目的もなく仕事をしている人や目的がわからず仕事をしている人がいますよね?

 

典生:日本ではその部分はあまり訓練されていないですよね。国際的に有名な日本企業の某社長さんですら、昔、海外のビジネススクールに通ったときに「目的は何?」と聞かれて答えられなかったという話を聞いたことがあります。

 

チェリー:確かに、日本人に単刀直入に質問しても出てこないことのほうが多いですね。

 

典生:訓練されていないから仕方ないとも言えますし、人によっては、わかるまでに時間がかかることもあるかと思います。

 

チェリー:私の個人的見解ですが、自分の価値観を揺るがす経験がある人は、目的があるケースが多いように思います。「なぜ?」ということを自分に問う習慣のある人もそうかもしれませんが。

 

■周りに合せて生きる日本人

 

典生:日本では周りに合わせる風潮が強いですし、日本ほどベクトルを自分に向けずに生きていける国はないと思います。周りに合わせた生き方をしていると、すべてが外部基準になってしまい、“私って何モノ?”ということを考える習慣ができないですよね。そんな日本人に対して、欧米の人たちは、自分自身のことを、自分の言葉で相手に伝えるという習慣ができています。自分のルーツに対する責任をもっているといいますか。

 

チェリー:コーチングが必要なのは、やはり目的がない人ですか? また、あとから“目的が違いました”ということもあるのでしょうか?

 

典生:目的がない人は、もちろんコーチングの対象になります。ただ、それだけとも限りません。目的を口にはするけれども、ただの勘違いということもありますよね。自分の悩みを語っているようで、実は、他人の目を気にして、こういう答えがかっこいいんじゃないかというような外部基準が入っていたりすることもありますし。

 

チェリー:本心から出たものでなければ、他人にちゃんと伝わらないはずなので、コーチとのやりとりの中で気付くケースもあるのでしょうね。

 

■目的は更新されていくもの

 

典生:谷村新司さんがギターを始めた目的は、肥満でモテなかったので、モテたいからだったそうです。今、彼が歌っている目的は違うはずですので、このように、目的が更新されていくこともあります。

 

チェリー:経営者や人は皆、成長過程で目的を更新していくのですね。

 

典生:経営者は会社経営の中で、もんもんとしたプロセスを経ますが、それが大事なのです。今、ホリエモンが気になっています。ライブドアをやっていたときと、刑務所というトンネルをくぐった今とで、新たに更新された目的が何か聞くことができたらおもしろいですよね。

 

チェリー:私も興味があります。

 

■“why”に対する答えが『目的』で、“what”に対する答えが『目標』

 

典生:グーグルの目的は『世界中の情報をデジタル化してユースフルなものにする』です。一見、目標と間違いそうですが、これは終わりのないものですから、目的です。いついつまでに検索エンジンをこうするといったものが目標です。

 

チェリー:目標が理念で、ミッションが目的にあたるわけですね。こう考えるとミッションのほうが上位概念ということでしょうか?

 

典生:言葉のとらえ方が色々なので、こうだとは言えませんが“why”に対する答えが『目的』で、“what”に対する答えが『目標』です。

 

チェリー:「なぜやるのか」が「目的」で、「何をやるのか」が手段、ということですね。とても分かりやすいです。

 

■会社の目的と個人の目的が繋がっていることが大切

 

チェリー:企業の目的と、働いている人の目的が合致しないこともありますか?

 

典生:エンゲージと言いますが、会社の目的に賛同して、それに繋がって個人の目的があるというのが大事です。根本的なところに共感できないと、働いていて面白くないですよね。

 

チェリー:自分の目的が会社の目的と繋がっているのは大事ですね。

 

典生:目的があれば、やらずにいられないですよね。例えば、JR東日本テクノハートという会社は、個人と会社の目的が一致させる取り組みを通して、組織変革を実現させた良い例です。各自がどうすればもっと良くなるのか、考えて実行していますよね。

 

チェリー:以前読んだ松本えつをさんの『しゃらしゃらDays』という本を思い出しました。将来に不安を感じている大学生の“ちこら”が、今よりも自分らしく生きるための方程式を見つけるのですが、その考え方と似ています。

 

典生:それは是非読んでみたいですね。身につけるのではなく『あることに気づく』のが大事で、コーチングの極意はそこにあると思います。

 

本日は、ゴール設定における目的と目標についてのお話を中心に伺いました。

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