なぜ人間は他者の気持ちをわかろうとしたり、実際に分かり合うことができるのか。

そこにはオキシトシンという神経化学物質が関係している、という論文が、DHBR(2019年12月号)に出ています。

人間の前頭前野には、他の動物に比べて高密度にオキシトシンの受容体が存在しているそうです。脳からオキシトシンが分泌されるときに、人間の共感力は高まることが明らかになっています。

またオキシトシンは、知らない人々に囲まれているときの不安を緩和したり、協力して助け合うことを促す作用もあるそうです。さらに、意欲を喚起する化学物質、ドーパミンの調整にも関わっているとのこと。

しかし一方で、社会的なつながりを拒まれるような事態が起きたとき、その経験は「社会的苦痛」として、脳の痛みに関連する領域で処理されます。例えば上司に威圧的な態度をとられ、強権発動の恐怖政治のなかで働いている状況。そこではストレスによってオキシトシンが分泌されにくくなり、結果として協力関係をつくることへの意欲が低下する悪循環を招きます。

そこでもう一つ、Paul J . Zak教授(クレアモント大学院大学 神経経済学研究センター創設所長)による論文で注目したいのが、「テストステロン」というホルモン物質の働きです。男性ホルモンの一種であるテストステロンの値が高いと、”自分は世間で高く評価されていると”「脳は判断する」そうです。そんなつもりじゃないと言っても、脳内物質の働きによる思考のメカニズムを否定することはできません。

スポーツでの勝利やビジネスの成功などによって大きな注目を集めた人は、少なくとも「そうなりやすい」・・・危険水域にある、ということを理解しておく必要があります。

ポジションマネジメントから離れたところで、CEOがエグゼクティブコーチングを定期的に受けることの価値は、こうした観点ひとつとっても理解できるのではないでしょうか。

コーチングは成功するために、幸せになるために役立てるものとも言えるけれど、成功した後、幸せを満喫している人生において、自己像の肥大化を制御するセルフマネジメントにも有用なのです。

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12月3日(火)大阪、5日(木)東京で連続開催

マインドフルネスの在り方を通して深化するコーチング。その背景にある人間の「注意力」と「感情」に焦点を当てながら、コーチングとマインドフルコーチング基本を体験していただきます。

マインドフルコーチング~注意と感情の科学~