親がそばに寄り添って応援してあげることが、幼児の認知処理に影響を与える・・・簡単に言えば、親の応援は知育を促す。日本の研究者による世界初の報告が、Social Neuroscience電子版10月9日号に掲載されています。※発表者:開 一夫(東京大学大学院総合文化研究科教授)、川本大史(中部大学人文学部心理学科講師)

この研究では5歳児21名を被験者にして幼児の興味が持続するよう工夫した認知課題を行わせ、成功と不成功の認知処理ができるかを実験しました。その結果、親が隣で応援しながら課題に取り組むと、成功と失敗を区別することができたそうです。ところが幼児が一人で取り組む場合、これらの区別ができなかったのです。

さらに親がそばにいる子は、成功したときの心理的報酬が高まっていることもわかりました。これは事象関連電位(脳波の一種)を測定することからわかったもので、「親の応援が成功に対する報酬陽性電位の振幅を大きくすることで、幼児は成功・失敗を区別して処理できるようになることが明らかとなった」としています。

この研究はまだ始まったばかりで、親の応援という社会的報酬とはべつに、お金やモノ(物理的報酬)を用いた場合はどうか、単に応援と言っても親の資質や他のさまざまな環境要因、親以外の大人が関わった場合はどうかなど、探求課題がたくさんあります。

しかし親による適切な寄り添いが認知機能を育むことの一端が見えたのは、家庭の在り方、ひいてはワーク・ライフ・バランスの在り方を問う貴重なヒントになると思われます。

昨今、家庭の経済格差が子どもの学力格差に反映されること、そこから格差の強化スパイラルが生まれてくることが懸念されています。たしかに経済的な側面からも対処していく必要があるけれど、「親子の関わり方を見直すこと」は、もっと早く着手できることかもしれません。

親がどんなふうに子どもに寄り添い、どんなフィードバックを与えることがポジティブな影響を及ぼすか。私たちも実践家の立場から、コーチングや共感コミュニケーションを通して可能性を探っていきたいと思います。

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