『典生人語』の刷新を勝手に記念して、おススメ本を紹介します。

写真のとおり気に入りすぎて付箋貼りすぎなこの本。『人は皮膚から癒される』(山口創 著 草思社 税別1300円)

身体論やボディワークの観点から大変勉強になります。私たちが主宰するMBCC(マインドフルネス・ベースド・コーチ・キャンプ)は身体へのアプローチを探求しているので、受講生のみなさんやプログラムに関心のある方には、大推薦したい1冊です。

多くの動物は恐怖を感じると、血管が収縮するそうです。これは外敵に襲われたとき、出血を最小限に抑えるための働きです。人間の場合は、「鳥肌が立つ」といった皮膚の反応に、そんな動物としての名残が残っているそう。

ゾーッとする・・・という表現もポピュラーですが、あれは単なる比喩ではなく、実際に皮膚の温度が下がるのですね。こうした状況がつづくと、代謝や免疫機能が低下していきます。

反対に皮膚を温めてあげると、ストレスが緩和されて他者に対しても寛容になるのだそうです。本書ではそのことを証明する興味深い実験結果が、いくつも紹介されています。

たとえば手に温かいコーヒーを持った人と、冷たいコーヒーを持った人の比較実験。被験者たちに「ある人物のことを書いた文章」を読んでもらうと、前者のほうが人物像を肯定的にとらえる傾向が強かったのです。

皮膚を温めると、他者との心理的な距離が近くなり、人を信頼しやすくなることもわかっているそうです。

へたすると悪用される危険もあると思いますが、複雑な社会における対立の融和や対人支援に取り組むうえで、こうした身体へのアプローチが生き物として大切なことがわかります。