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芽を伸ばすための360度コーチング

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マネジメント行動についての自己評価が下がり、他者(上司や部下)の評価が上がった事例を、過日の当ブログに書きました。で、他の2名は・・・というところで話を終えたので、今回はそれについて書きます。

「意識的に実践しているつもりだ」という本人の認識は、コーチングで主な課題にした項目の大半でポジティブな有意差をもたらしました。簡単に言えば、本人の「できている(やっている)」という認識が、プロジェクト前に比べて上がっていたのです。ただ、上司や部下の評価がそれに伴って同じように上がっているわけではありませんでした。コーチングにおいて特にフォーカスを当てたいくつかの部分について、上司は加点していたけれど部下はそうでもありませんでした。他の多くの項目については、上司の評価も部下の評価も事前調査と大きな変化は出ていませんでした。

前のブログで紹介した2名が「意識的にやりはじめたら“できない”ほうに自己認識が向いた」のに対し、他のふたりは「意識的にやりはじめたこと自体が、以前より”できている”という自己認識につながった」わけです。前者ふたりは、当初の自己認識が他者評価に比べて高く、後者ふたりは他者評価に比べて低い傾向にありました。それぞれが適正な自己像に近づいたことは、事前と事後の自他評価の比較から明らかになりました。

しかし心情的な話をするなら、実践努力が上司や部下の目に十分届いていないのは気の毒・・・。プロジェクト報告のためにデータを丹念に読み返しながら、正直そんな思いを抱きました。半年間をともにしてきた私の感覚では、「もっと部下に届いているはずだ」という期待感があったので。

客観的な(ある意味では冷徹な)フィードバックをしなければならないけれど、結果に現れてこなかったことに潜んでいる価値も本人や上司に伝えたい。そう思って臨んだ3者面談では、むしろ現役トップマネジメントチームたる上司陣が、結果に現れてこなかったことを十分にくみ取ってくれていることがわかりました。部下からは事前調査にもあった辛辣なコメントなども一部には残っていたのですが、それらも含めてニュートラルに次世代経営者候補たちを観る目がありました。

いわゆる「360度評価」は”評価”と表現してしまった時点で、たとえバイアスを避けられないと頭では理解していても、一つの評価として伝わってしまいます。しかし私たちはこの次世代リーダー育成プロジェクトを通して、可能性を開花させるための課題を探り、行動を通してマネジメントスキルを開発するための「360度情報」であることを周知徹底してきました。

「まだ、あいつらには見えていないんだな」・・・そんな言葉が、面談の途中で何度もトップから発せられました。森をみているトップの視野には入っているけれど、特定の木に目が向いている現場には上司の変化や、変化しようとする努力が伝わっていかない。それはもう少し時間を要することなのだということが見えてきました。さらに、「もっと伝わるように行動することの必要性」も浮き彫りになってきました。どちらにせよ非常に有り難かったのは、土のなかで起きている変化をトップマネジメントチームが承認し、結果に表れていない結果を肯定的にとらえて話をしてくれたことでした。

一連の取り組みを通して、なぜ多くの企業において「360度評価」がうまく活用できずにいるのかも、あらためて理解できたように思います。そして評価や判断を保留して開かれた360度の情報としてとらえれば、同じような労力もシステムも、まったく異なるパワーを持つことが実感できました。

自己認識が高まると自己評価が下がる?

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クライアント企業の次世代幹部育成プロジェクトに半年間取り組みました。

コーチングした4名のうち2名に共通していたのが、
主要な開発課題の多くで自己評価が下がっていたこと。
その一方で、同じ項目について現経営陣と部下からの評価は上昇していました。

その結果、コーチングに着手するまえの事前調査で開きの大きかった自他の認識が、
事後調査ではほぼ一致してきたのです。

採点に現れない定性的なコメントを拾っていくと、
望ましい変化を示唆する部下や同僚のコメントが現れていました。

意識していなかった行動に意識的に取り組むことで、
その2名に起きたのは「うまくできない」という実感でした。
たとえば真の傾聴、ひとつをとっても。

しかし本人たちの実践に対峙している部下は、
上司の変化を実感していたのです。

私たちが主催しているSIYセミナーで、
猫が見つめている鏡のなかにライオンが映っているスライドがあります。
自己認識の歪みを示す私の好きなスライドですが、
今回のプロジェクトの結果をみて真っ先にそれが思い浮かんだのです。

等身大で自己をとらえることができるようになれば、
多様な部下の反応が良きフィードバックになってくるでしょう。
「私は話を十分に聴いている」と思っていたら口を挟んでしまうけど、
「まだ十分に聴けていない」と思ったら、さらに耳を傾けようとする・・・というように。

2名の半年後が、どんな様子かが楽しみになってきました。

残り2名については、また次の機会に。