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なぜ会社を変えようとする人が”カルト化〟してしまうのか

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「会社を変えよう」という志をもつ人々が、
なかなか変わらない組織のなかで〝カルト化〟していく。

こうして組織変革が頓挫する様を
『学習する組織』(ピーター・センゲ著 英治出版)のなかで、
著者のピーター・センゲ氏は指摘しています。
(〝カルト化〟は、ここでの私の表現です)

志も行動力もある変革推進者のリーダーシップが、
なぜ機能しなくなるのか。
やもするとそれは、
「古い体質を背負った会社が悪い」――ということになります。

しかしビル・トルバート氏(ハーバード大学元教授、組織開発の大家で
ピーター・センゲ氏の先輩にあたる)が提唱する
リーダーの発達段階ごとの行動論理によれば、
そこには周囲の変容を促すに至っていない
変革推進者自身の課題が横たわっています。

ごくごく簡単に説明すると、
大きな変容を志向する人は価値観や行動基準など
あらゆることを再定義していきます。

ですから職場の平均的な人々からみると、
変革推進者というのは、
理解しにくい〝変わった人〟に映ります。
そして変革推進者が少数ながらチーム化して力を得ると、
その存在は周囲にとって安全な世界を犯そうとする
特異な集団として、距離を置かれるようになっていきます。
職場と相いれない「再定義型リーダーシップチーム」は、
けっきょく組織全体を変革に導くことはできないのです。

トルバート氏は「再定義型」のリーダーが進む次の段階を、
「変容者型」と説明しています。

両者のちがいは非常に大きいことが、
トルバート氏のセミナーに参加して非常によくわかりました。

「再定義型」が変革を自明として自らの視点に立っている
(言い換えれば既存の構造の外に出ている)のに対し、
「変容者型」は対立する人々の視点を取り込み、重ね合わせ、
相互に影響を及ぼし合えるような関係性を築きます。

U理論を提唱するオットー・シャーマー氏がトルバート氏から学んだのも、
このあたりから、よくわかる人にはわかりますよね(笑)。

再定義の行動論理を乗り越えてこそ、
ようやく変革推進者たちはカルト化の危機を脱するのです。

ちなみに氏が説く7つの「行動論理」は次のとおりです。

========================================

機会獲得型―自己に有利な機会を見出し、結果のために手段を問わず行動する

外交官型―周囲の状況・既存の秩序に合わせて調和を重んじて行動する

専門家型―自己の論理・効率を重視し完璧を目指して行動する

達成者型―目標を掲げ、効果を得るのために他者を巻き込んで行動する

再定義型―戦略・手段・意図の一貫性を問いながら独創的に行動する

変容者型―相互性と自律性を好み、時宜を得て発達を促しながら行動する

アルケミスト型―意図を察知し直観的・タイムリーに他者の変容を促しながら行動する

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あらためて、リーダーが自らを客観視することの大切さ、
その難しさを感じます。

一つ前のブログでもふれましたが、
トルバート氏は長年の研究から
「発達段階の進んだ行動論理をもつリーダーほどフィードバックを受け入れる」

ことも明らかにしています。

人の成長や組織の変革を促そうと思ったら、
まずリーダー自らが学び、成長しなければならない――

一般論としては当たり前のように繰り返し言われることを、
いかに具体的な論拠とノウハウをもって実践していくか。

ここに組織変革に携わる者としての大きな挑戦課題があることを、
あらためて痛感しています。

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フィードバックを活かすリーダーの器

『学習する組織』が説く5つの規律のひとつに
「メンタルモデル」があります。
かんたんに言えば、自分が持っている思考の枠組み。
誰にも枠組みはあり、
なければ物事の判断や意思決定が難しくなります。
したがってメンタルモデルは必要、
という言い方もできますが、
固定化されることで障害も起きてきます。

特に今のような変動の激しい社会、
ビジネス環境においては、
これまでの人生経験で形成されたメンタルモデルが、
誤った判断を促す危険性が高まっているといえるでしょう。

だからこそ自分がもっているメンタルモデルを自覚し、
どんな影響を自他に及ぼしているのかに気づくことが大切です。

先日、ビル・トルバート氏による
『アクション・インクワイアリー(行動探求)』
のワークショプに参加しました。

< 組織に及ぼす影響力の大きい経営者やマネジャーは、
忙しい日常の渦中においてメンタルモデルを観察できなければならない >

これは、ビルさんのワークショップで得た大きな学びの一つです。

あとからメンタルモデルに気づくことはできたとしても、
それは失敗のふりかえりでしかないかもしれません。
失敗したことは学びに変えていけばいいにせよ、
ビジネスの重要な局面では失敗自体が許されません。

だから上流部分の意思決定を担うリーダーは、
「行動しながら同時に探求できる人」でなけ
ればならないのです。

ビルさんは現在の組織学習論の先駆者である
クリス・アージリス氏に師事した方で、
『学習する組織』を世に広めたピーター・センゲ氏の先輩、
『U理論』の提唱者であるオットー・シャーマー氏を指導した人物。

ビルさんらによる30年来の実証研究にもとづく
人と組織の発達段階によれば、
ある一定の発達段階までは、
人は自分がもっているメンタルモデルに気づかないそうです。

この研究結果と重なり合うもうひとつの実証は、
同じような発達段階にある人は
他者からのフィードバックを求めない傾向にあること。
つまり自分の興味関心、目的や目標、方法論などを
前提にした行動論理が形成されていて、
そのことが組織の変容に必要な人々の相互性の開発を阻んでいるのです。

さて自分のことを考えてみると、
メンタルモデルの克服とアップデートには
2つのことが欠かせないと感じています。

ひとつは、嫌でもなんでも客観性の高い情報を得ること。
それが科学的で信頼に足るものであることがわかっていれば、
示されたフィードバックを無視することはできません。
ふたつめは、フィードバックを十分に活かす習慣をつくること。
その鍵になるのは、耳の痛い話も受け入れる心の柔らかさと、
改善できているか否かを日常的にキャッチする注意力です。

これらのことが組織開発や人材開発で広く認識されてきていることは、
前者についてはアセスメントへのニーズ拡大からもわかります。

ただしアセスメント(またはサーベイ)は両刃の剣で、
組織と被検者に合意形成がないと失敗します。
そもそも評価を下すためのものなのか、
個人の成長や組織とのより良い相互性を生み出していくためのものなのか。
そこも明確にする必要があるでしょう。

さらに考えなければならないのは、
いかに被検者がフィードバックを活かす器を養っていくかということ。
まだメンタルモデルに気づいておらず、
フィードバックを得ようとしない人の器を拡げることができるのか、という点です。

私自身も経験していることですが、
「どうせ嫌なことを指摘されるのだろう」――と思ったら、
抵抗を感じます。
そして実際に厳しい指摘を受けたら、さらに抵抗を感じます。
それが関係性の思わしくない相手からのフィードバックであれば、
なおさらのことでしょう。

しかし、この逆立つ感情を一歩引いて観ることさえできれば、
欲しくない(けれど必要な)情報が自分に入ってきます。
引いて観る(感じているとき)は、
脳のメカニズムとして、よけいな思考が休んでいるときだからです。
さまざまな考えに惑わされず、情報を受け取りやすくなります。

ですから「いま、心が反応しているな」ということに気づくことが大事です。

これはフィードバックに対する抵抗や反発が自動的に(無自覚なまま)
起きてくるまえに生まれている身体感覚――ムカッとくる、ザワザワする、
締めつけられる感じ・・・といった瞬間的な経験を、
しっかりつかむということです。

そのためには、ふだん見過ごしていることを注意深くとらえる
アテンショントレーニング(注意力を養うトレーニング)が有効です。
ある種の瞑想がビジネスパフォーマンスに好影響をもたらす可能性も、
こうした文脈からみていくことができます。

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