賛成する人のほとんどいない、大切な真実とは?

これは私が年末年始に読んだ本のナンバー1、『ZERO to ONE』(ピーター・ティール著 NHK出版)に出てくる問いです。著者は当代シリコンバレー屈指の起業家であり投資家。あのPayPalの共同創業者にして元CEO、フェイスブックやスペースX、テスラモーターズなどにも深く関わっている人物。

本の冒頭に出てくるこの問いに、まず私はガツンとやられました。0から1を生み出す=ZERO to ONE とは、ほとんどの人が(つまり世間が)、そっぽを向いているところに目を向けること。

そこからビッグバンのごとく、無から有の創生がはじまる。著者は、こんな例も引き合いに出しています。

『奴隷制度をはじめから悪だと思っていたのは、少数の奴隷廃止論者だけだった。「奴隷制が悪い」という考え方は今では常識だけど、一九世紀のはじめにはまだ隠れた真実だった。今の時代に知られざる真実はないというのは、隠れた不正義が存在しないというのと同じことだ』

たった100年前、戦争は当たり前に地球の各地で繰り広げられており、奴隷制や身分制度に根本的な疑問を持つ人は稀だったということ。

考えてみればそのとおりで、「知られざる真実」の発掘を通して世界が新しいステージに入っていく。そんなイメージを持ちながら、血湧き肉踊る思いで本を読み進めました。

リーダーシップ開発、組織変革コーチとして、たった一つの問いの力をあらためて実感したのも正月の収穫。こういうゴージャスでオーセンティックな問いを、経営者のみなさんに投げかけたなあ。

そして著者は、こうも語ります。

『偉大な企業は、目の前にあるのに誰も気づかない世の中の真実を土台に築かれる』

0に目を向けて事業をスタートするから、競争に勝ち抜くための差別化・・・・・という、ありきたりの発想が不要になります。そして著者は、こう言い切るのです。

『競争は資本主義の対極にある』

資本主義という仕組みのなかで世界をリードする企業は、競争に勝ち抜く企業ではなく、競争にさらされない企業だという意味。90年代のマイクロソフト、2000年代以降のグーグルなどの誰もが知る事例だけではなく、ニッチ市場から地歩を築いているユニークな企業が取り上げられています。

今は批判も起きてはいるけれど、製販一体の製造小売という業態で抜きん出たユニクロなども、事業コンセプトによって競争不要の環境に限りなく近づけていった。

やがて競争は生まれてきますが、その時点では基盤を固めており、次の打ち手に出る余裕が生まれているわけです。

もう一つ、私がガツンとやられた著者の問いを最後に紹介します。

『誰も築いていない、価値ある企業とはどんな企業だろう』

ZERO to ONE のコーチング。

これが今年のテーマです。