メジャーリーグに行く日本人選手のなかで、ことごとく内野手が失敗するのはなぜ。いろいろな意見を聞いて、特に説得力を感じた三つの見解があります。

一つは、芝生の違い。
日本は人工芝が多いのに対し、メジャーは天然芝。そのためイレギュラーのバウンドなどが多く、不慣れな日本人選手は対応しきれないと。

二つめは、走者の激しいスライディング。サッカーでも強いフィジカルコンタクトに日本代表が戸惑うように、野球の内野手も勝手が違うのだそう。
あからさまに野手を狙ってくるらしく、その意味では、イエローカードやレッドカードが想定されるサッカーより危険な場合さえあるのかも。

三つめは、捕球と送球のスタイル。
「正面でボールを受けてから投げろ」と少年時代から叩き込まれる日本と違い、メジャーではどんな体制でも早く捕球し、すぐに投げる。そうしないとメジャーレベルのスピードには対応できないと。

しかし一方で、同じ野球じゃないかと思ったりもするわけです。今の時代、情報はいくらでも集められます。メジャーに行きたいのなら、当然そのための準備があって然るべきでしょう。投手や外野手に比べて野球の質の差がハンデになりやすいにせよ、けっして乗り越えられないものではないはず。希望を込めての話ですが、私はそう思います。

そう言いたくなるのは、あまりにも準備しなさすぎ、無策すぎると感じるからです。二年間で数億円単位の契約をしながら、メジャーで一度も出場機会がない某選手などは、あるインタビューで「ちょこちょこ出るくらいから出ないほうがましかも」的な発言をしていて、ちょっと驚きました。

それが数億円を手にしたプロの言葉かと。誰が3Aはおろか、3軍にあたる2Aの選手に億単位の金を出すのか。翻って私たちのビジネスシーン。

グローバルに通用する日本人ビジネスパーソン、海外法人でリーダーシップを取れるリーダーが少ないという声を聞きます。ここにも似たような問題が潜んでいるのではないかと思うのです。

それは見通しの立てにくい環境で学び、仮説をもって手探りで進む生成的なエネルギーというか。これまで身につけてきたことにしばられず、常に自分のメンタルモデルを認知して変容していけるオープンさ。そういうものが足りないのではないか。

こういう資質は、過去の実績から推し量れるものではありません。しかしこれからの社会において、アジャスト能力は分野を問わず重要になってくるでしょう。環境は大きく変わり、流動的で、問題は複雑で解決策が見えず、ケーススタディのないテーマに取り組まなければならないのですから。

では、アジャスト能力の高い人は何が違うのでしょう。その大前提は、今現在の自分の状況をオープンに迎え入れ、評価や判断を加えずに見つめる能力が高いこと。まずこれが第一だと考えます。

過去の経験や、そこからくるプライド。価値観や信念。それらは、想定外の出来事や状況を受け入れず、その心地悪さを払いのけようと言い訳を始めます。ルールがおかしい、部下が悪い、競合他社がアンフェアだ、挙句の果てには顧客の意識が低い・・・。

そんな声が心をかけめぐるとき、意識は外に向いていて本当の自分には蓋がされています。実はその蓋を開けて中を覗くってのが、マインドフルネスなわけですが。

アジャストして縦横無尽に動いていくには、今この瞬間の自己を味わう揺るぎない姿勢が必要。いっけん努力しているように見えるのに結果が伴わないのは、心に蓋をしたまま反応しているからでは。自分が苦しいときの苦い経験も含め、戒めとして書き留めておきたいことでした。