次世代経営幹部の育成にあたって、候補者をどう見極めるか。
これは企業にとって重要なテーマであることは間違いありません。

あなたの会社では、何を評価基準に評価が行われるのでしょう。現役の経営幹部は経営のサクセッションプランを練るにあたって、当然のことながら、これまでの実績と能力をみます。

実績はともかく能力は多面的で評価が難しいとなれば、アセスメントやトレーニングを通じてフィードバックを集めます。しかしここで案外見落とされやすいのが、モチベーションです。

そもそも次世代経営幹部の候補に挙がるくらいだから、“これまでの仕事における”モチベーションは高いからです。

「ミドルマネジメントとしては十分だけど、経営の担い手になれるか?」というところで、そのポテンシャルを見たいと経営者は考えます。

ここで注意したいのは、ポテンシャルを能力だけで測れるか、ということです。これまでの(ミドルマネジメントとしての)顕在化した能力だけではなく、トップマネジメントとしての能力的なポテンシャルが高いか否か。それを推察する手立てはあるけれど、それだけで本当の意味における経営幹部としてのポテンシャルにはなりません。

経営幹部としての能力的な素養をエンジンだとすれば、それを動かすガソリンにあたるのがモチベーションです。これまでの職務におけるモチベーションに、これからの職務におけるモチベーションが相関していくとはかぎりません。そんな心配など微塵も感じていない役員の隣で、終始戸惑いの表情を浮かべている“期待の”ミドルマネジャー。そんな構図に何度か同席したことがあります。モチベーションの肝になるのは、湧き起こる興味と関心です。

ミドルマネジメントに求める要件と経営幹部に求める要件。その違いは明確に語られているのに、ガソリンの量を測ることを十分にしないのは明らかに論理矛盾です。

経営者は優れたエンジンをみつけると、すぐに難易度の高いサーキットを走らせたがります。しかしワールドチャンピオンになるF1マシンだって、ガソリンが入っていなければ珍妙な姿をした見世物にすぎません。

いちばん定量化しにくいガソリンという要素。この繊細なテーマを繊細に扱うことが、タレントマネジメントにおいてとても重要です。